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昨日の続き

千疋屋に行って来ました。
高いじゃねーのリッチじゃねーの! と意気揚々だったんですが、何の事はない。自分、果物がそれほど得意じゃなかった…。
嫌いではないし大概食べられるんですが、量がな…一口くらいで結構満足してしまうと言うか。
腹に溜まるよね! 水分!
デザートとかでも果物かチョコかなら確実にチョコだもんな、毎度。
そんな訳でフルーツ攻めを喰らってました。しかも自爆。
美味しかったけどな!


さて昨日の続きです。
余りに半端過ぎて自分ですっきりしなかったもんで。
00の兄×アーデさんで。
男同士ですんでご注意をー。






*****


「どうして分かったんです? あれから一週間しか経ってませんが」
「あのな……あんまり舐めなさんな、今でも情報網くらい持ってるわ。一週間どころか三日目には住所も職場も把握してた」
「三日ですか、それはそれは。では何故、今日だったんです?」
「…………」
 意地の悪い質問の自覚はあった。隠しもせずティエリアは口の端で笑う。タイミング悪く視線を落としていた目の前の男は、その笑みを窺う事は出来なかった。

 再度の再会は、一週間後にやって来た。ティエリアが勤め先から帰宅すると、マンションのホール前に見知った姿があった。いや、確かに知ってはいたが、ここ長らく見慣れてはいない人。
「……おかえり」
 壁に預けていた背を起こし、ロックオン・ストラトスは片手を上げた。直ぐ頭上の照明に照らされ明るみになっている表情は、少しの安堵と盛大な困惑に塗り潰されている。自分で尋ねて置きながらそんな顔を、とその原因も分かっているだけに、溜息は我ながら馴染んだ物になった。
「どうも」
 そのままホールを抜けようかとも考えたが、ティエリアは足を止めた。これだけで流して部屋へと案内もしなければ、男は小さく失望するだろうか。それとも強引に、若しくは迷いながらも部屋の前まではついて来るか。
 男の取る行動に興味はそそられたが、不意にその通りに動いてやるのは癪な気がした。そう容易に私室に招いてやる必要は無い。反射で判断を下せば、身体は素直に従った。反転し、上背の顔を見遣る。
「店に行きましょうか。良い時間ですし」
 返事は待たない。ついて来るも来ないも、相手が決める事だった。

 ティエリアが居を構えるマンションの一階には幾つかの店舗が入っており、その内の一つが先日偶然にも目の前の男と再会を果たした店だった。勝手の良さもあり、週に二回は足を運んでいる。
 食事を頼んだのはティエリアだけだった。前回同様カウンター席に座り、今度は間を空けずにいた。隣人にメニューを差し出してみても、散々迷った挙句に何も頼まず閉じてしまい、結局一人で食べている。ロックオンは酒ですらなく、最初に出された水をちまちまと口にしていた。
 炊き上げられた米を咀嚼しながら、ティエリアは反芻する。隣の男について。
 実際、ロックオンならばティエリアの居住地など、ものの数日で調べ上げるだろう事は予想出来ていた。仮にも元ソレスタルビーイングの一員である。再会までの一週間あったのはある意味意外である。しかしそこは男の情報収集能力云々の問題ではないだろうとも、想像に易い。躊躇いに躊躇い、足を出すまでにそれだけ掛かったのだろう。
(それでも、今でも腹を括った様子には到底見えないが)
 らしくもなく、男はちらちらと視点が定まらない。開いたり閉じたり繰り返す口は、先からろくな会話を成していなかった。落ち着きのない、まるで子供。その様に、ティエリアは苦笑を禁じ得ない。昔は、あの頃はあんなに大人に見えた男だったのに。
 ふと、男が消えた日が頭を掠めた。もう何年も前の記憶。大分薄れはしたが、あの時の感覚は封じ込めた奥底に残っていた。それはただ残っているだけで、昔の様に今の彼を散々振り回したりはしない。感傷、過去、――乗り越えたもの。
 話を進められずとも、この場を去ろうとしない隣の男の、それが望んでいるものなのだろう。図々しくもなれず、突破する勇気も無い、そんなところ。だがそこをこちらから切り開いてやる義理は無いと、ティエリアは目の端で男を捕えていた。甘えを許しても、どうにもならない。お互いに。
 そう思っているものの、いい加減痺れが切れてきた。何せ、ティエリアの食事はもう終わってしまう。未だ間誤付いている男相手に隠しもせず、盛大に息を吐き出した。ピクリと男の肩が竦む。飲み干したグラスを加減してカウンターに叩くと、ティエリアは胡乱な目付きで睨み上げた。
「で、何か用ですか」
「ええ! っとぉ……そのー……」
「いつまでそうしてるつもりです、そろそろ僕は帰りますが」
「お、ま、待て。待て待て。……な?」
 へら、と隻眼が笑う。頼りなくも気が抜ける表情。この様では人付き合いの良さは相変わらずだな、とティエリアは軽く分析し、しかし自分達二人の間で人付き合いも何も、と臍をかむ。今更であり、――今となっては今更過ぎた。
 巻き毛の奥の目が長めに閉じられる。は、と吐息の音。
「――お前に、謝りたくて。だ、な」
 寄っていたティエリアの眉間が更に狭くなる。それは一瞬で、直ぐに自然の位置に解された。成程、と口内で唸る。
「分かりました。それで?」
「え」
「だから、謝罪は受け入れます。恋人だった僕に何の話も無く姿を消し、僕を捨て去った事についての謝罪ですよね? 分かりました、それはもう結構です。それから?」
「それから、って」
「他に何かありますか」
「……理由、訊かねぇの?」
「理由、ね。そうですね、聞いても構いませんが。でも僕が聞きたい、と言うより、あなたが言いたい、の方が正しいのでは?」
 切り口は存外に鋭く、男に刺さったらしい。息を詰めて目を見開いている。そんな男を目にし、溜飲が下がるティエリアでもない。恨み事や報復をしたい訳ではない。事実、今のはロックオンの方から切られに来たのだと、ティエリアは判じる。
 責められ、詰られたいのか。そうやって許されたいのか。どの道これでは、ティエリアは分かりながら男を甘やかしている。全く、卑怯な事この上ない。
「……そうだな、言い訳したいんだな、俺は。お前に」
 弱り切った苦い笑み。身勝手だと痛感したなら、その表情は相手の同情を誘うだけだ。痛感に妥当でない。
(狡い男だ)
 ティエリアはもう、男の不在の間に冷静にそう考えられる様になった。
「あのままソレスタルビーイングに居ても、俺もやる事はあっただろう。でもマイスターとしての役目が終わって、ただの人間になって、ただの人間としてお前の事を見つめ直して。そしたらさ? 結局、いずれ俺はお前を一人にしちまうって。お前を置いて、老いていってしまう。そう考えたら、な」
「……今更過ぎやしませんか、そんな事分かり切っていた事でしょう」
「ああうん、そうなんだけど! けど戦争が終わったってなると、違ってくるだろ。平和が戻ってくる、普通の生活になる。そんな極限状態を離れた所なんだ、いつかを怖がって無理に二人で居なくても、きっとやっていける。それなら別れは早い方が、傷は浅いし治りも早い。あの頃なら、皆だって居た。一人じゃないし、全てが片付くまでには持ち直せる、一人で立っていけるようになるって。そう思って……だな……」
 俯いていく頭上に、ティエリアは遠慮なく盛大な呆れを溜息で被せた。
(いっそそのまま減り込んでしまえ)
「余りに支離滅裂と言うか、意味不明です」
「ああ……だから……俺が、将来お前を一人にしちまうのが嫌でだな……」
「あなたに死なれれば確かに僕は一人だったでしょうが、あなたに捨てられても結局は一人だと思いますが」
「そう、なんだが……」
「自分の手を汚したくなかった? ……少し違うな、自分が傷を与えたくなかった?」
「っ!」
「いえ、これも違いますね。――あなたは、自分が独りだと思い知るのが恐ろしかっただけでしょう。だから、先に、それから逃げた。
 ……戦争が終わってからこちら、それからも一緒に居たとしたなら、僕の異常性は際立つでしょうから。相応に老いたあなたは、若いままの僕との決定的な違いを見たくなかった」
 心を許した唯一の立ち位置に居るティエリアと、その間に隔てる圧倒的な障害に、あの時のロックオンは絶望したのだ。
 静かに断言すれば、目の前の男は表情を綺麗に失くしていた。そうして少しずつ端から漂い出すのは、無自覚だったのしかもしれない恐怖と孤独と、突き付けられた真実により芽生えた羞恥と自己への嫌悪。そんな男を、ティエリアは哀れにさえ感じられる。今となっては、と注釈が付くが。
「家族に焦がれていたあなたは、孤独を恐れながらも慣れていた。だから新しく手に入れたものを失う事が耐えられない、……また独りになる事が」
 違いますか、と尋ねた声は殊更控え目だった。貌に浮かぶ苦笑も滲んでいる。何も、ロックオンを傷めつけたかったのではない。それでも、ロックオンがティエリアとの今後を考えているのなら、それはどうしても受け入れ理解し、乗り切らなければならないものだった。過去のティエリアがそうした様に。
 ロックオンが望むのか望まないのか、それはティエリアには分からない。俯いた男は口を開けないでいる。
「この間も言いましたが……」
 さて、とティエリアは伝票を手に取る。スツールから腰を上げ、隣席に置いていた鞄に手を伸ばした。気配で察し、弾かれた様にロックオンは顔を上げる。
「待って、ティエリア、」
「僕からは動きませんよ、何もしません。そうした事での結果に価値を見出せると思いません。ああ、あなたと居る事の価値の話ではなく、僕から行動を起こした末のそれに、と言う意味です。
 ……苦しかったですよ、僕も。それはそれは。この数年、酷かった」
「ティエリア」
「でもそれを克服出来たから今の僕がある。気に入っているんです、こんな人間である自分を、昔よりももっと」
 会計をしながらマスターと慣れた会話を交わす。そうする間もロックオンに動く素振りは見られない。呆然とティエリアを目で追いながら、立ち上がれないでいる。ドアノブに手を掛け、ティエリアは一度ロックオンへと向き直った。その隻眼を、直向きに見る。これ以上彼から言える事は、もう無い。
「……それでは、ロックオン」
 慈愛の滲む美しい苦笑で、そう結ぶ。ドアベルの響きだけがその背中を追い掛けた。





*****
「タイトル未定(2)」←もうコレがタイトルで良い気がしてきた/ニール×アーデ
よし、書き切った! 満足いくとこまで書けた!!
一応ハッピーエンドのつもり。え、この後にそうなるでしょ? って言う。ならないのか?
まあそれはそれでもアーデさん的には。…いいんじゃ? …??
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