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スペック妄想

クリスマスだってのに、こんな色気もない不穏な妄想しか出来ません。
もうデフォルトですよね自分の。
多分皆さん分かって下さってると勝手に思ってます。
寧ろ皆さんそれを望んでますよね!(笑顔)

金10ドラマで姉弟ネタです。短め。






 暦は聖夜から生誕日へと足を掛ける頃合いだが、喧騒も彩る装飾もこの場所からは遥か遠い。
 海風は酷く吹き荒び皮膚を叩いたが、潮の匂いは目立たなかった。凍てつく冷気は白い結晶を伴い、容赦無く海上から見舞ってくれる。それでも雪は、世界を染めるには全くもって足りていなかった。
 海の近くでの降雪や積雪は珍しい。地形や海の塩分など幾らでも理由は上げられるが、そのどれもが今は通り過ぎるだけだった。嬲られる髪を抑えもせず、紗綾は勝手に動いては理論に準じた解を導く思考を捨てる。何より彼女の武器であった高水準の思考力が、さっぱり響かなかった。
 頭を使うまでもない。白は黒に勝てなかったのだ。紗綾は敬虔なまでに確信する。
 何故なら今現在この時、世界はこれ程に黒に満ちている。真夜中の闇は紺を疾うに置き行き、漆黒がただ深い。面を合わせる水面は海岸に並ぶ街灯を返し、重い黒壇がゆらゆらと敷き詰められている。紗綾の胸の内もいやに黒く、そんな中で如何に数を散らそうとも、欠片が勝る筈が無いのである。
 白は黒に勝てない。
 けれど白は黒の毒となった。いや、毒とした。当麻紗綾の手に依って。
 まるで黒色そのものであり、恰も闇で成された一人の少年は、この現状世界そのものに強大で絶対で誰一人として勝つ事の出来ない王の存在だった。紗綾の過去から未来までを塗り潰して殺す、禍々しい力であった。そんな特殊能力に魅入られ駆使する人間など、この手で制圧するべきだと、ずっと。
 信じ、只管求めて走り続けていた絶対はほんの短時間で容易に覆った。
 能力を選び魅入られた少年は、果たして真実であったのか。寧ろ少年こそがその特異な能力から選ばれ、無邪気さと美しさを見染められ付け入られたのではなかったか。一巡の事件と命が終わってしまった今となっては、真実の先は永久に見出せなくなった。
 何時ぞや、とある能力者が零した台詞が頭の中で何度も繰り返されていた。苦渋を感じ取ったのは、紗綾の耳であり脳であり心だった。
「……『才能は、選べない』」
 強く祈った他者の救済の末に与えられたのは、彼を世界から独り切り離す特殊能力。困惑と苦痛は想像に易く、幼い少年には百年をも超える孤独だったに違いない。
 少年を王と成し得た能力は、正しく彼を切り取ったのだ。世界から、人々から、彼の身体も名前も温かい思い出も気持ちも。加えて通りすがりの変態から余計な記憶を植え付けられ、孤独に棲む狂気の王は誕生した。
 眩しい光を名に冠する弟は、最早紗綾と同一世界に居ない。それでも最期に、残した。聴かせてくれた。
「……よ、た」
 王を名乗る少年は母親を大事にしていたと言う。母として側に居てくれる存在があった事実、母を愛し親しんでいた一十一の記録。それらがせめて、無邪気に美しく、慈悲無き王に温もりを与えてくれていたのだと盲目に信じ、感謝する。
 世界はこんなにも黒に染め上げられる。白は微かな毒でしかなく、異なる世界においては致命傷であった。毒は、当麻紗綾、その人。
 積もった憎しみの分、愛していた記憶の分、今からも慈しみたかった心の分、紗綾の生きる世界の黒は濃く、密になる。その世界を生きていく。



*****
「身体と名前のカットアウトライン」/スペック姉弟ネタ
暗っ。
姉弟での対話とか妄想するけど、原作考えると無理だよねとか。

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