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唐突に妄想が

お久しぶりですみません。
オンリーの報告とかまた後ほど……というか自分がまだ自分の本を見てませんので何とも(笑)。


最近はドラマ燈可奈にもんどりうってます。某方々お付き合い有難うございました。今後とも是非に。
そんなもんだったらば、妄想が迸ってます。あああ。


ドラマ4話よりの妄想。ドラマ最終回後。
*****

「怒ったところで理解出来ないでしょう、……水原さんには」
 唐突に脳裏に巻き戻された情景。

 
 自分の声で再生された頭の中の声に、一瞬だけ意識が持って行かれてしまった。二、三度瞬き、燈馬はソファに背を預ける。それだけでは古い声は消えはしなかった。
 それは恐らく、燈馬にとってはロキと同様の失言だった。そして、当時のロキをからかいながら言及した燈馬なのだから、その矛先は己にも向けている。
 まだ出会って日の浅いあの頃なら、自分の鈍感に譲歩しようもあったのかもしれない。しかし、一度は決めたアメリカへの帰国を取り消してまで日本に、ここに残った現在となっては、気付かぬ振りにも隠しようにも限界だった。
 ――「大事にしろよ」。お前こそ、の後に続けられた台詞に、頷いて良いものか分からなかった。相手の考えは勿論のこと、あの時の燈馬は自身の機微にすら浅慮であり、また素直に認めがたい抵抗の様な、越えるに勇気の要る敷居の様な、何とも知れない心地悪さがあったのだ。
 今なら理解出来た。あれは恐怖に似たものなのだろう。
 変わる自分。己だけではなく、重なり合う沢山の人の世界。そこに居る自身。そうありたいと既に決別していた筈ではあっても、自ら短くした後ろ髪を、それでも執念深く引く躊躇はあった。
 それを打破したのはそれも己自身であり、言い逃れも後ずさりすらも出来なくなる程、真正面から燈馬の世界に入り、その放つ色や温度や感情で浸し尽くしたのは、可奈だ。
(以前とはいえ、我ながらよく言えた台詞だ)
 今となっては、恐ろしくて思案すら厭う。口元で組み合わせた手の中に、燈馬はゆっくりと息を吐く。広く薄い肩が僅かに上下したが、気配に聡い隣人にも知られずに済んだ。
 なぜならそれは、別ちの言葉に他ならない。燈馬と可奈とを生きる世界の違う人間だと区別し、別れ遠ざけさせる文言。今の燈馬には謂われなく傷を受ける差別の方がまだマシに思える。
 若しくは、それぞれの人にそれぞれ存在する一つずつの世界を、自ずから可奈のものとの交錯も交差をも拒否した、それ。そんな世界など、燈馬には考えるだに空恐ろしかった。

 燈馬の隣で、可奈は友人から借りてきたと言う雑誌を読んでいる。頬を緩ませては、時折小さく声を漏らして笑う。これ本当なのかな、と口先に溢れた細い声音。
 特に何をするでもなかった。燈馬と可奈、二人同じ空間に居ても各々やりたい事をし、好きな様に過ごす。この時間に意味があるのか否かは燈馬には判別出来ない。しかし確かに価値のあるものではあった。
 穏やかになる。緩まる。紐解く。心地が良い。――そういう類の温かい熱に包(くる)まれる具合。
 こうして隣に居る可奈に、きっと彼女もそうなのだろうと思える瞬間がある。現状もそうだ。そうして尚、温かさが深みを増す。
「ねえ燈馬君、見てこれ」
「何です?」
「知らない。でも可愛いよね、燈馬君も気になるよね? だから今度見に行こうよ」
「……易い誘導ですね」
「何でよー、いいじゃん行こうよー」
 可奈が口を開く度、小さな頭の尻尾が揺れる。その様を眺めるのを存外に楽しんでいる自分に気付いたのはいつだっただろう。気付くより随分前からそうだったのだろうとは、燈馬は自己を検分している。
「明日土曜だしさ、午前中で部活終わるし! 天気も良いって言ってたしさー、ねえ燈馬君ー」
 居心地が良いなんて稀有な感覚を与えてくれる、また自分があげられていると痴がましくも感じさせてくれる他人なんて、そういない。寧ろ燈馬にとっては、他に要らない。
 そんな彼女に不言の内に誓って、封印している。二度と口にしない拒絶の言葉。出来る事なら、可奈には忘れていて欲しい。求めて、彼女の忘却の彼方へと追い遣り、消したい。
 細い手に両肩を掴まれて揺さぶられる。身体の割りに可奈の力は強い。視界はぐらぐらと揺れた。
「ねえ、人の話聞いてんの!?」
「聞いてますって! 聞いてますからそんなに揺らさないで下さい!」
「じゃあ行くの!? 行かないの!?」
「……分かりました、行きましょう」
「やった!」
 肩から手を離すと、可奈はパン、と一度手を打ち鳴らす。掌の向こうでは唇が弧を描いて笑っていた。
 思い出さないで欲しい、と燈馬は願う。その一方で、可奈のこういった笑みを受け取ると、全て見透かされている気にもなってくるのだ。何一つ忘れずに憶えており、その上で理解され、尚且つ許されてしまっている。甘えさせられている、抱き包まれている。それが燈馬にはやや照れ臭くも、しかし酷く柔らかく鮮明に幸福を知らしめてくれていた。
「よし! じゃあ部活終わったら速効で迎えに来るから! あ、いや、部活終わる頃に燈馬君が家に来て? 一緒にお昼ご飯食べてから行こう」
「いいんですか?」
「うん、明日はお父さんも居る筈だし。お父さんも喜ぶよ」
「分かりました、ご馳走になります」
「決定!」
 救われる。
(――掬われている)
 淡く薄い温かな色にまるで満たされている。願わくば傍に居られる様、傷付けぬ様、燈馬もまた微笑みを深く返した。

*****
「薄紅の回帰」/ドラマ版Q.E.D.
可奈は忘れてもいなければがっつり憶えているっていう。

内容もタイトルも思いついたままの付け焼刃なんで、そのうち訂正するかも。
あとブログでなくちゃんと更新もしたい。取り敢えずの保存のみ。
追記:多少修正しました。
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